蟹工船
カムチャッカで蟹を獲って缶詰に加工する船(蟹工船)では、子どもを含む多くの労働者達が酷使され、時に暴力を受け、非人間的な扱いを受けていた。仲間の命が次々と失われ、彼らは不満を募らせていく。
小林多喜二によるプロレタリア文学の傑作、『蟹工船』を山村聡が初監督して1953年に映画化した作品。
小津監督の『東京物語』で長男役を演じていた山村が、こんな骨太の映画を撮っていたのには驚いた。今のワーキングプアでもここまではないだろうと思わせる劣悪な環境と仕打ちに耐え忍んできた労働者が、遂に反旗を翻す展開は、ソ連映画の名作『戦艦ポチョムキン』も連想させる。しかし、本作は単純なプロパガンダ映画ではなく、ましてやハリウッド的なエンターテイメント映画でもない。後味の良さとは無縁だ。『動物農場』で言えば、映画版より原作版に近いといったところか。
群像劇としては個々の登場人物の描かれ方が不十分で、いまいち消化不良に終わるところもある。昔の映画で音声が悪いためか言葉に訛りがあったりするためか、台詞が聞き取れない部分も多い。
しかし、一見の価値はある映画だ。安易な希望は、ここにはない。それを受け止める覚悟を持って観てほしい。


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