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June 29, 2016

二重生活

大学院生(門脇麦)は実存哲学の修士論文を書く為の研究方法として「尾行」を教授(リリー・フランキー)から提案され、近所の男性(長谷川博己)を尾行し始める。小池真理子の小説を岸善幸監督が映画化した作品。
題材は興味深く、主人公演じる門脇の演技も上手いのに、それらを十分に活かしきれていないようで少し残念に感じられた。「現代日本における実存」という小難しい研究課題を掲げながら、結局のところ、不倫絡みの騒動に巻き込まれる程度に終わってしまっている。真面目な院生に妙な事をやらせながら教授に罪の意識がまるでなかったり、全体的に人物設定に多少疑問も感じられた。安っぽい修羅場や濡れ場をもっと抑えて、じっくり人間を描く本当に哲学的な撮り方をすれば結構刺激的な作品になる可能性はあっただけに勿体ない。ただ、そんな映画にすれば、恐らく商業的には失敗するだろうから、こうなったのかもしれない。
本作では、主人公が初めて尾行した男性がいきなり刺激的な場面を見せるので分かりやすい展開になったが、実際に街を歩く人を尾行してもそんな場面に出会う事は稀だろう。自分の日々の生活の単調さを思うと、主人公が自分を尾行したら、果たしてどんな論文を書くのか読んでみたい気がする。あまりの刺激のなさに尾行を止めてしまうか・・・なにはともあれ、門脇麦の次回作に期待したい。

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