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June 26, 2017

残像

著名な前衛画家ストゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)は、ソ連の影響下に置かれたポーランドで政府の方針に反発したため、様々な迫害に晒されて厳しい境遇に追い込まれていく。
巨匠アンジェイ・ワイダ監督が、実在の芸術家を題材として、死の直前に完成させた作品。
映画館で観ている間、ほぼずっと苦しくて、観終わった後も、その苦しさが内臓と頭脳に伸し掛かったまま、その晩、寝るまでストゥシェミンスキの生き方の事ばかり考えてしまった。こう書くと単なる嫌な映画に思えるが、そうではない。久しぶりに観た素晴らしい映画だ。信念を貫く凄まじさと悲哀は、この物語だけの問題ではない。多くの人々は主人公に同情するだろうが、現実世界では彼のような人を追い詰めている事に気付かない。自分もまた。果たして、自分は信念を貫けるだろうか、そんな人の味方になれるだろうか。そんな事を考えさせられた。
本作はエンターテイメントとは程遠い。ワクワクする楽しさ、心温まる感動、観終わった後の快感を求める人は絶対に観ない方がいい。だが、生き方や社会の在り様に関心がある人にとっては、大いに意味のある映画だ。
ところで、主人公の娘ニカ(ブロニスワヴァ・ザマホフスカ)が、観ていて、とても切なかった。その切なさと親子の関係を淡々と描いてみせるところが、単なる反骨映画に終わらせないワイダ監督の巨匠たる所以なのだろう。

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