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July 28, 2018

めぐみ-引き裂かれた家族の30年

1977年、いつものように学校へ出かけた当時13歳の横田めぐみが忽然と姿を消した。両親は娘を探し続け、遂に北朝鮮拉致問題に辿り着く。
クリス・シェリダンとパティ・キム夫妻の監督が、北朝鮮拉致問題を採り上げたドキュメンタリー。
思い入れの強さが感じられる映画だ。そこに共感を覚える観客は感動するだろうが、以前から横田夫妻が生理的に苦手な自分は、打楽器中心の音楽の多用、めぐみ氏や家族が美人や善人なことが何度も言及されること、家族会が自民党前で拡声器を使って「バカヤロー」と叫んだりすること、北朝鮮と交渉する小泉総理を増元氏が「プライドがない」と非難すること、それらが共感を妨げてしまう。地村保志氏と両親のエピソードの方が感動した。
もっと淡々と描かないと、映画としては少し鬱陶しく感じられる。拉致問題を知らない外国向けの広報映画としてはいいが、純粋なドキュメンタリー映画としては良い出来ではなかった。
念のため言っておくが、自分は拉致問題を放置しろと言っているのではない。北朝鮮の非道は非難されるべきで、この問題を軽視してはいけないのは当然だ。ただ、だからと言って、兵士を拉致されたイスラエルがレバノンを爆撃したように、日本が北朝鮮を攻撃するわけにはいかない。少し頭を冷やした議論が必要だと自分は思う。

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July 07, 2018

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (東 浩紀)

1971年に生まれ、東京郊外で育った二人の論客が、「東京」を素材に、サブカルチャー、都市の個性と均質化、セキュリティ、そして、ナショナリズムやリベラリズムと、様々に現代社会を論じる。
「東京」という街に関心があって読み始めたものの、知らない地域の話や学者にありがちな濫発される専門用語に辟易するところもあった。しかし、そんな読みにくさに目を瞑れば、採り上げられる話題は興味深いものが多い。
青葉台で実験的に行われている小学生にICタグを持たせて位置を把握するセキュリティ・サービスや成城の監視カメラ、ファミレスやジャスコ等の大型ショッピングセンターが並ぶ均質空間としての「ジャスコ的」郊外と下北沢再開発で問われる街の個性、自分も以前から感じていた東京における東西格差の深刻化の様な都市論だけではない。ライフスタイルの多様化と子どもの生活習慣の問題、ゴミ袋にICタグをつけるゴミ処理対策案、更には生物学的制約として「女性が類として出産する器官を独占していること」と「女性が個として出産を選択しないこと」の両立、抽象的リベラリズムの限界、等々、議論は驚くほど多岐にわたる。
随所に示唆に富む内容を含んだ面白い本だ。果たして現代人は街の個性を必要としているのか。それとも、古い人間のノスタルジーに過ぎないのか。突き詰めて考えてみたい、そんな思いを抱かされた一冊だった。

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July 01, 2018

そら (平原 綾香)

デビュー曲『Jupiter』で一躍有名になった歌手、平原綾香の4枚目のオリジナル・アルバム。
少し聴いた限りでは、全体としてのインパクトは薄い。1・2枚目のアルバムに比べて、3枚目から内容がこじんまりしてきた。デビュー当初の衝撃が薄れて、彼女の歌を聴き慣れたせいもあるかもしれない。とは言え、彼女の歌は最初からいきなり衝撃的に訴えてくるというより、じわりじわり沁みてくるタイプだ。前作『4つのL』も一時は気に入らず中古に売ろうかと思ったが、まだ手元に置いていて、最近聴いてみたら、結構気に入るようになっていた。
本作は、5曲目の『しあわせ』が良い。美しいピアノと弦、ゆったりした歌、どこか『明日』に似た雰囲気の曲だ。この他、6曲目の『夢暦』や8曲目の『CHRISTMAS LIST』が耳に残る。ただ、『CHRISTMAS LIST』の珍しく社会性ある歌詞は、それ自体は構わないものの、「正義が勝つ」という一節がいただけない。そう思いながら聴くひねくれ者のファンは自分くらいしかいないだろうが。
自分が好きなアルバム『The Voice』に数曲収録されていた彼女の作曲曲が、本作に入っていないのも残念だ。
ところで、音楽には無関係だが、本作の彼女の写真は綺麗だ。『夢暦』の歌詞の左頁に掲載された彼女の横顔から肩にかけての写真は、本当に美しい。(個人的に好きな某女性に似ているというのもあるが)

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