May 06, 2019

「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」オリジナルサウンドトラック(得田 真裕)

有村架純と高良健吾の主演で2016年1月から放送されていたテレビドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のオリジナル・サウンドトラック。作曲は得田真裕。
聴く度、ドラマの場面を思い出すだけでなく、その美しく切ない旋律は、自分の脳裏に個人的な哀しい思いも去来させる。そのため、時に感情を激しく揺さぶられるが、それでいて癒しの音楽でもある本作は聴くと魂を洗われる。
残念なのは、ドラマの主題歌が収録されず、ジャケット写真も主演の2人ではないところ。それ以外は全く文句なしだ。

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April 30, 2019

寝ても醒めても(FAYRAY)

女性シンガーソングライター、FAYRAYのアルバム。
最初聴いた時、予想していたのと少し違った。これまで以上に静かで地味で印象が薄く、インディーズの歌手が作った芸術に偏りすぎたCDの様に感じられたからだ。彼女は美人なのに、遂にジャケットや歌詞カードから顔写真がなくなり、楽曲だけで勝負するつもりなのを更に印象付ける。安易な商業主義へ走らないそんな姿勢は嬉しい。何せ以前、自分はギタリストの村治佳織のファンだったのに、彼女が写真集を発売した途端に幻滅してファンを辞めたくらいなので。音楽家が美男美女なのに越した事はないが、あくまで音楽そのもので勝負してほしい。
その点、FAYRAYは裏切らない。本作も聴き込むほどに違和感は消え、じわじわと良さが感じられてくる。彼女らしい美しい旋律と落ち着きのある歌声は変わらないが、これまでのアルバムが夕日や夜空を眺めて物想う様な切ない曲が多かったのに対し、本作は休日の朝、静かに幸せを噛み締めているかの様な味わいだ。表題曲「寝ても醒めても」の歌詞、「生まれ変わりも 同じ時代を選ぼうね 二本並ぶ木になって隣にいたい 永遠に」、そんな事を言える大人に、そんな事を言ってもらえる大人に、なりたいと思う。
やはり、彼女はいい曲を作る。一番好きな日本の歌手だ。

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Path of Independence(平原 綾香)

デビュー曲「Jupiter」で有名な女性歌手、平原綾香の5枚目のアルバム。
いかにも彼女のCDらしい静かで穏やかな一枚だ。これを良しとするかで、本作の評価は決まるだろう。
1曲目の表題曲「Path of Independence」のイントロから美しいピアノの旋律が耳に流れ込み、「ノクターン」、「星つむぎの歌」へと続く。「空に涙を流したら」の歌詞は、歌詞自体のせいか歌い方のせいか、いまいち流れが良くない気がした。特に「チャカ・カーン」の部分は何か引っかかる。「カンパニュラの恋」の「カンパニュラ」の部分も無理に言葉を捩じ込んでいて良くない。谷村新司が作詞作曲した「朱音」は、山口百恵が歌っていたとしても不思議じゃない歌謡曲だ。自分としては、平原自身が作詞作曲した「一番星」の方が彼女にしっくり合っている気がして、聴いていて心地好い。
以前から思っている事だが、アルバム内で彼女が作詞作曲した曲の割合がもっと増えてくると、これまでになかったいいものになるだろうし、彼女自身、新たな一歩を踏み出せる気がする。
本作は全体的に平板で少し物足りない。聞き込んで染み込んでくれば印象も変わるかもしれないが、今はまだ、これまでのアルバムの方が好きだ。

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April 26, 2019

MY SHORT STORIES(YUI)

女性シンガーソングライター、YUIのアルバム未収録のカップリング曲を集めた一枚。
ふと店頭で見かけ、不覚にもシングル曲を集めたベストだと勘違いして買った。メジャーデビューした頃から気になっていたのだが、アルバムを聴こうとは思えずにいた。正解だった。勘違いして買ったら良かったということではなく、これまでアルバムを聴かずにいたことがだ。
聞きやすい。「ながら聞き」しているだけでメロディは耳に残り、気付くと頭の中で流れている。シングル曲かと思わせるほど見事にポップだ。だからこそ、自分は評価できない。これが商業ベースで邁進することが求められているタイプの、本人もまたそう割り切っているだろう浜崎あゆみ等の歌手なら、それでいい。しかし、元来、YUIはそれとは少し違うと思う。自分の勝手な希望や期待に過ぎないのかもしれないが。残念だった。
5曲目の『Jam』の歌詞で「PUNK ROCK」や「anarchy」と歌われても、こうまで全編ポップだと白ける。あの可愛らしい顔をジャケット写真に載せないくらいの気概が欲しい。本人がこの路線でいいならとやかく言う筋合いはないが、だとしたら、自分は二度と彼女のアルバムを買いはしないだろう。耳に残っても心には残らない音楽だ。

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February 09, 2019

Planet Earth (Prince)

特定のジャンルでは括れない音楽を創り出してきた殿下、プリンスの最新アルバム。
いかにもプリンスといった曲調で、一昔前の彼の作品をどこか思わせる。盛り上がる曲と艶っぽい曲が入り混じり、ロックでポップスでファンクでラップでジャズで。結局、プリンスのジャンルは「プリンス」なのだろう。
盛り上がる曲としては、先行シングルでもある2曲目の“Guitar”が良い。ギター・ソロとシャウトがもう、やらしくてカッコイイ殿下の真骨頂といった感じだ。君を愛してるけど、ギターほどには愛せない、という歌詞がまたいい。49歳の殿下は老け込むどころか、相変わらずこんな曲を作ってしまうのだから、恐れ入る。自分を含めた世の男どもは見習わねば。8曲目の“Chelsea Rodgers”もノリノリで、後半のブラスは体が自然に動く。
一方、艶っぽい曲と言えば、特に6曲目の“Mr.Goodnight”だ。洒落たバーの夜に合いそうな、こんな雰囲気で女性を口説けたら、と思う。殿下とは比べようもない自分がやっても滑稽なだけだろうが。
個人的には、前作の“3121”の様な渋めの大人なアルバムの方が最近は好みだが、本作の様な如何にもプリンスの王道といった作りもいい。

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July 01, 2018

そら (平原 綾香)

デビュー曲『Jupiter』で一躍有名になった歌手、平原綾香の4枚目のオリジナル・アルバム。
少し聴いた限りでは、全体としてのインパクトは薄い。1・2枚目のアルバムに比べて、3枚目から内容がこじんまりしてきた。デビュー当初の衝撃が薄れて、彼女の歌を聴き慣れたせいもあるかもしれない。とは言え、彼女の歌は最初からいきなり衝撃的に訴えてくるというより、じわりじわり沁みてくるタイプだ。前作『4つのL』も一時は気に入らず中古に売ろうかと思ったが、まだ手元に置いていて、最近聴いてみたら、結構気に入るようになっていた。
本作は、5曲目の『しあわせ』が良い。美しいピアノと弦、ゆったりした歌、どこか『明日』に似た雰囲気の曲だ。この他、6曲目の『夢暦』や8曲目の『CHRISTMAS LIST』が耳に残る。ただ、『CHRISTMAS LIST』の珍しく社会性ある歌詞は、それ自体は構わないものの、「正義が勝つ」という一節がいただけない。そう思いながら聴くひねくれ者のファンは自分くらいしかいないだろうが。
自分が好きなアルバム『The Voice』に数曲収録されていた彼女の作曲曲が、本作に入っていないのも残念だ。
ところで、音楽には無関係だが、本作の彼女の写真は綺麗だ。『夢暦』の歌詞の左頁に掲載された彼女の横顔から肩にかけての写真は、本当に美しい。(個人的に好きな某女性に似ているというのもあるが)

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February 07, 2010

Takako Matsu Concert Tour 2010 Time for music

松たか子の3年ぶりのコンサート・ツアーで、中野サンプラザとサンシティ越谷市民ホールで行ったライブ。
安心して聴ける安定感がある彼女の歌は、今回更に上手くなって、流行りの専業歌手など足許にも及ばない。『優しい風』など多くの歌を、ミュージカルを思わせる声量で聴かせてくれる。前のライブでは伴奏が必要以上に大きいロック調で耳障りだったのに対し、今回はバランスが取れて彼女の歌の魅力を損なう事もなかった。ただ、彼女の歌は安定しているために詩的な抑揚も少なく、もう一歩情感に欠ける。囁く様な歌い方なども交えると、もっと表現の幅が広がると思う。
最も残念だったのは、一番楽しみにしていた曲、『500 Miles』を忌野清志郎の日本語版で歌ってしまった事だ。「ファイブハンドゥレッド」が「ごひゃく」になってしまうと、音の流れの美しさが濁って台無しだ。もう一つ苦言を呈するとすれば、アンコールの最後に歌った新曲が折角ライブ向きの曲調だったのに、そこまでの盛り上げ方が足りないために観客が十分にはノッてこなかった事である。これは日本の聴衆特有のおとなしさのせいもあるが。
ところで、3年前のライブでは彼女も自分も独身だったのが、今は彼女は結婚して夫と共にステージに立ち、自分も結婚して妻と共に観客席にいる。音楽とは関係ないところでも感慨深い気持ちになったライブだった。

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June 28, 2007

MATSU Takako concert tour 2007 I Cherish You

女優として歌手として活躍する松たか子が、大宮ソニックシティと中野サンプラザで行ったライブ。
全体的に伴奏の音が大きすぎてバランスが悪かった。特にベースとドラムが目立ちすぎるのは、ロックならばともかく彼女の歌には合わない。自分のお気に入りの曲『みんなひとり』も、そのせいで魅力が減じてしまった。どちらかと言えば、中野の時の方がバランスは改善されていたが、6年前のファースト・ツアーの時の方が良い。
しかし、ライブ中盤で彼女のピアノと金子飛鳥のバイオリンのみで歌った『a piece of life』からのアコースティックな数曲は心地好かった。これこそ松たか子の歌の魅力だ。その後は、彼女が今年で歌手デビュー10周年なのを記念してのメドレー。佳作揃いの曲を聴きながら、自分のこれまでの10年間の恋愛や仕事を思い返す時間。
6月10日の大宮は、奇しくも彼女の誕生日だった。松たか子も既に30歳。しかし、ステージ上の彼女はとても若々しく輝いていた。席が前の方だった中野では、彼女の表情がはっきり見え、時に目が合う錯覚も覚えた。「ほら、楽しんでる?」、そう彼女に言われている気がした。音楽も人生も。「頑張らなくちゃ」、そう思った。
残念な点もあったものの、基本的に彼女の歌自体は安定した巧さで心地好く聴けたし、MCも適度に上品さと気さくなユーモアが混じっていて楽しめた。次回は、よりアコースティックを重視した大人のライブを期待したい。

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