July 07, 2018

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (東 浩紀)

1971年に生まれ、東京郊外で育った二人の論客が、「東京」を素材に、サブカルチャー、都市の個性と均質化、セキュリティ、そして、ナショナリズムやリベラリズムと、様々に現代社会を論じる。
「東京」という街に関心があって読み始めたものの、知らない地域の話や学者にありがちな濫発される専門用語に辟易するところもあった。しかし、そんな読みにくさに目を瞑れば、採り上げられる話題は興味深いものが多い。
青葉台で実験的に行われている小学生にICタグを持たせて位置を把握するセキュリティ・サービスや成城の監視カメラ、ファミレスやジャスコ等の大型ショッピングセンターが並ぶ均質空間としての「ジャスコ的」郊外と下北沢再開発で問われる街の個性、自分も以前から感じていた東京における東西格差の深刻化の様な都市論だけではない。ライフスタイルの多様化と子どもの生活習慣の問題、ゴミ袋にICタグをつけるゴミ処理対策案、更には生物学的制約として「女性が類として出産する器官を独占していること」と「女性が個として出産を選択しないこと」の両立、抽象的リベラリズムの限界、等々、議論は驚くほど多岐にわたる。
随所に示唆に富む内容を含んだ面白い本だ。果たして現代人は街の個性を必要としているのか。それとも、古い人間のノスタルジーに過ぎないのか。突き詰めて考えてみたい、そんな思いを抱かされた一冊だった。

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