暴走する資本主義 (ロバート・B・ライシュ)
資本主義が世界を席捲する現在、生じている問題の原因はどこにあるのか。それは資本主義の下で消費者と投資家の力が強くなった一方、民主主義を機能させるための市民や政治の力が弱くなったからだと論じる一冊。
かつてアメリカのクリントン政権で労働長官も務めた著者の文章は、アメリカを中心とした資本主義社会の豊富な実例を盛り込み、分かりやすい。「約50%の消費者が、環境保護が必要だと考えているが、しかしそれは企業の責任であって消費者の責任ではないと回答している」という調査の紹介には考えさせられた。格差社会が問題視されている日本でも多くの人々が漠然と感じているだろう現代が抱える問題の根幹を、明確に説明してくれる。その中で最も刺激的なのは、企業に社会的責任を求めることは間違っているという主張だ。企業の暴走を受け入れろという意味ではなく、責めるべきところはもっと別にあるということである。
残念だったのは、資本主義と民主主義の問題を丁寧に論じる部分の厚みに比して、それに対して提示する処方箋の部分が期待していたよりも少なかったことだ。もう少し処方箋の説明を読みたかった。
著者の考え方への賛否はともかく、資本主義に肯定的な人も否定的な人も是非読んでほしい本である。多分、新しい視点を得る一助になるだろう。


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